top of page
  • 執筆者の写真南薩の田舎暮らし

鹿児島文壇小史

9月25日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。


もう立秋も過ぎましたが、日中は夏休みよりも暑いくらいの天気でした。しかし石蔵の中はクーラーが効いてひんやり。暑い日に涼しい部屋にいるのは、それだけで贅沢な気持ちになりますね(笑)



今回は、いろいろと特色ある本が販売されました。例えばこちら。『鉄腕アトム Happy Birthday Box』です。鉄腕アトムは、誕生したのが2003年4月7日という設定らしいのですが、ちょうどその時に作られたボックスセットです。



中身は、復刻版のマンガを中心にいろいろですが、特に気になったのは「ソノシート」! 昔の雑誌って、結構ソノシートが付録についてましたよね? いやあ、懐かしい。これもおそらくは復刻のソノシートですが、あの音を聞いてみたくなりますね〜! もちろんソノシートを聞くための簡単な手作り装置も付録しておりました。



一方こちらは、『南薩の昭和』という写真集です。実は私(南薩の田舎暮らし 窪)も写真提供しております。この本、あまり出回っていないので貴重です。元値は約1万円ですが、古書価格ということで7500円で販売していました。大変お得だと思います(誰か買うかと思ったのに誰も買わなかったのでまだあると思います)。



今回は、外に100円本コーナーも設置されました。こういうコーナーから、自分にぴったりの一冊を見つけ出すのは古本屋の醍醐味ですね!



さて、今回の特集は「今こそ、ふるさとを知ろう! -鹿児島県を見つめ直す-」ということで、鹿児島関連本が並びました。郷土関連本を探すのに古本屋ほどいいところはありません。なぜって、郷土に興味がある人が集めた本が、古本屋に巡ってきているわけですから。


特に郷土関連は、絶版本や非売品の本がとても多いので、元々古本屋と相性(?)がよいのです。


ところで、今回の特集を前にして、お客さんの一人が「鹿児島は文化果てる土地だ」というお話をしていました。実際、鹿児島が文化的なところだ、とは思えません。でも実は、かつて鹿児島にも「文壇」みたいなのがあったんですよね。


その代表的な雑誌が『三州談義』です。歴史や郷土を話題の中心としていた雑誌で、昭和30年代に創刊され鹿児島の文壇をリードしました。「三州談義社」という会社も設立され、何冊か本も出しています。



次は、『鹿児島評論』という雑誌。こちらは時事問題や地域経済などをテーマにした記事が多いです。「文壇」というよりは「論壇」といった方がしっくり来ます。創刊の時期等は不明ですが、戦前からあり、戦後はなくなったようです。



次は、今回私も初めて知った雑誌『鹿児島雑筆』。「郷土文化総合誌」を標榜しています。今回見たのが初めてなので詳しいことは不明ですが、写真のものは「第51号」ということなので結構続いたのかもしれませんね。雑誌としては面白い版型を使っています。



これまでの雑誌は全部昭和のものですが、平成に入ってからも刊行していたのが『みなみの手帖』。昭和46年に創刊され、平成の初めの方までは続いていました。内容は、小説・詩・随筆・短歌・俳句・川柳・薩摩狂句・歴史・民俗・考古など、まさに文芸総合誌でした。



この他、実際に見たことはありませんが『文化ジャーナル鹿児島』という雑誌も昭和62年から10年ほど出版されていたようです(内容は随筆・評論・論考など)。


また、かつては短歌や俳句の同人誌も何十と発行されており、教育委員会など行政が出版する文芸誌を入れると相当な数になると思います。今では「文壇」などないように思える鹿児島ですが、少なくとも昭和50年代くらいは間違いなく「文壇」がありました。


昭和40〜50年代というと、普通の青年が詩や小説を書いていたような時代なので、これは鹿児島特有のことではありませんし、その後地域的な文芸誌が廃れていったのも全国的な趨勢です。とはいえ、鹿児島が「文化果てる土地」ではなかった時も確かにあると思います。


ところで、今回変わった地域雑誌を見つけました。それがこちら。『老人倶楽部かごしま』。内容は、まさに老人クラブの活動に参考になるような情報がもりだくさんです。ゲートボールの歴史?とか特集されてました(笑)



ちなみにこの雑誌を作っていたのは高岡修さんという人で、鹿児島の詩人・俳人であり、本の出版もやっていた(…もしかしたら今もやっているのかも知れない)とても変わった人です(笑) この雑誌がどれくらい続いたのかもよくわかりません。


こうした、鹿児島の文芸誌の出版の歴史は、私の知る限りではまだ誰もまとめていないようです。もしまとめたら、鹿児島の文壇の歴史が浮かび上がってくると思うのですが…! 誰かに取り組んでいただきたいと思います。


ところで話は変わりますが、次回開催で、石蔵ブックカフェが満4周年を迎えます。開始以来、1回も欠かさず4年間続いてきました。これもひとえにいつも来て下さる皆さんのおかげです。当日は記念っぽい企画を実施する予定です。


次回は10月23日(土)10:00〜19:00。また石蔵でお会いしましょう。


【今日の一冊】

『孤島パズル』有栖川有栖

『間取りの手帖 remix』佐藤和歌子

『一日一絵 闘病絵日記366日』野崎耕二

閲覧数:157回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page