2月25日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。
先月は極寒(←大げさ)の中での開催でしたが、一月でずいぶん温かくなりました。天気にも恵まれ、穏やかな気候の中での開催でした。久しぶりの快晴での石蔵ブックカフェだった気がします。
今回の特集は「アートの世界 -写真集・図録・絵画集-」でした。大型の本が多くてつばめ文庫の小村さんは梱包・搬入に苦労したようです。
このブログでは前も書いたことがありますが、こういう大型本は絶対に古本で買うのがいいと思います。というのは、大型の本は高いですからね。1冊1万円近いようなアートの本も珍しくありません。
しかし、もっと重要なことは、図録や所蔵目録といった本は、そもそも書店には流通していないんですよね。図録は展覧会が終わったら大抵販売終了しますので、古本屋で手に入れるしかないわけです。私(南薩の田舎暮らし 窪)自身も、展覧会の図録はかなり古書で手に入れました。
そしてもう一つのオススメポイントがあります。これは「地元の古書店」を使うべきだ、という話なのですが、地元ゆかりの芸術家の図録や作品集などが自然と集まっているので、新たな発見がいろいろあるんです。
例えばこちらは、知覧出身の村永定観さんという方の作品展の図録ですが、こういう一般の書店では見ることができない作家の本がパッと目に入るのが地元古本屋のいいところです。「地元出身の2流アーティストよりゴッホやセザンヌの方がいいや」という人も多そうです(というか私も若い頃そうでした)が、地元の人が地元の風景・風土とどう格闘したのかというのも美術の見方として面白いですよ。
もちろん、そんなことは関係なく、感性で本を開いてみるのもいいです。図やイラスト、写真が中心の本というのは、文字だけの本と違って1ページ眺めるだけで新たな発見や学びがあるのがいいところ。例えばこの『画報 近代百年史』をパラッとめくったところ…、
見てください!「大阪湾にあらわれたロシア軍船」の文字! 昔の雑誌って、こういう書き文字がありましたね。このシリーズ、とにかく書き文字にパワーがみなぎっています。今のデジタル的紙面も悪いことはありませんが、かつてのこの文字文化が失われてしまったのは惜しいです。
あと、「写真集・図録・絵画集」という特集の趣旨からは逸れますが、大型本・絵が中心の本というくくりで言うと、絵本は大人ももっと読んだ方がいいと思います。
こちらの本は、黒人で初めてバスで白人に席を譲ることを拒否したローザさんの行動と、バスの座席の差別がなくならない限りバスを利用せず歩いて出勤するという抗議行動をした人たちについての絵本です。
人種差別という重いテーマを、ほとんど詩のような濃密さで描いた名作だと思います。バス無しでの日常生活を続けるという、非暴力の尊い戦いを貫いた人々の物語。こういうのは、もちろん普通の本で勉強する方がずっといいのですが、絵本でだったらすぐに読めて多くの人に訴えることが可能です。絵本は、すごく力があるメディアだと私は思います。
ところで、南薩の田舎暮らしでは今回、「たんかんオランジェット」を販売しました。例年、オランジェットを販売する時は石蔵にたくさんのお客様がいらっしゃいます。目玉商品があれば人は来る…ということですよね。いつも工夫したいものです。
人が来るといえば、石蔵ブックカフェと同時開催の「丁子屋石蔵講演会」では、石蔵ブックカフェ准スタッフの川田達也さんによる「南さつまの古寺跡から」と題した講演が行われました。この講演会、この写真を見て分かる通り満員でした! 川田さん、人気です!
私は最後の方だけ聞きましたが、川田さんの熱量がすごくて圧倒されます。あの熱量が人を惹きつけるんでしょうね。
しかし講演会に集まった人たちは、ほとんどは石蔵ブックカフェに寄らずに帰ってしまいました。講演とカフェというのは、意外と両立しないものですね。せっかくの機会なので見るだけでも寄って頂ければと思います。
さて、次回は3月25日(土)10:00〜19:00。特集は「古地図の世界」という、これまでにないテーマになっています。次回も極めて古本屋的な特集ですね。また石蔵でお会いしましょう。
【今日の一冊】
「カラーブックス(英語版)」各種
児玉清『寝ても醒めても本の虫』
Comentários