2月26日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。
当日は、この冬一番の強い霜がおりました。農作物への被害が心配です。しかし日中はポカポカ陽気のお出かけ日和でした。午前中は寒かったからか、とてもお客さんが少なかったのですが、午後2時くらいからはたくさんのお客さんで賑わいました。いつもありがとうございます。
今回の特集は「暖かい季節は目前! -春を感じられる本-」でした。……が、つばめ文庫小村さん自身が「今回の特集は失敗」と言うとおり、あまり「春を感じられる本」はありませんでした。
というのも、直接的に春が取り上げられている本や春を感じられる本(新生活準備とか)は現実的に限られますからね。こんな回もあります(笑)
なので、今回はテーマとは全然関係ありませんが、今回の石蔵ブックカフェに並んだ「本を紹介する本」を取り上げてみたいと思います。
まずはこちら。古書山たかし『怪書探訪』。
これは、ぶっとんだ本について紹介する本です。特に著者の思い入れがある『発酵人間』というダメ本(?)がめちゃくちゃ読みたくなりました。名作や感動作を読むのももちろんいいですが、ツッコミ所しかない駄作がかえって読みたくなる時がありますよね(笑)
次は種村季弘『偽書作家列伝』。
世の中には「偽書」という存在があります。著者や内容や書かれた時期が嘘っぱちな本ですね。要は「ニセモノ本」です。ちゃんとした本ではなく、こういうニセモノ本に情熱をかけた人々についてのエッセイがこちらです(なので正確には本を紹介するのではなく著者を紹介しています)。
次は岡田美里『千冊の魔法』。
この本は、著者が子育てする中で読み聞かせしてきた絵本や児童書を紹介するものです。「千冊の〜」がタイトルになっていますが、千冊紹介されているわけではありませんのでご安心を(笑)。私(南薩の田舎暮らし 窪)自身も子どもにずっと読み聞かせをしておりますし、しかもこの本に出てくる子どもたちとうちの子が今同世代なので共感するところ大でした。
次は頭木弘樹『絶望読書』。
この本は、「絶望した時に寄り添ってくれる本」を紹介しています。読むと元気が出るとか、絶望から抜け出すとかではなく、むしろ一緒に絶望するような読書体験を勧めるもの。「なんでわざわざ読書でも絶望を?」と思いますが、本当に絶望した時は安易に「頑張れ」と応援されたり希望を抱くよりも、絶望を肯定してもらったほうがよい…というような考えのようです。
次は澁澤龍彦『ドラコニアの夢』。
『文豪ストレイドッグス』というアニメがあります。これは過去の文豪たちを題材にキャラデザインされた登場人物たちが戦うアニメなんですが、これに澁澤龍彦が登場するようで、このアニメとコラボして編まれた澁澤龍彦のアンソロジーです。内容は耽美と猟奇の文学がメインですね!
最後は笠井潔『物語のウロボロス』。
この本は正確には「本を紹介する本」ではなく、日本の幻想文学の作家論です。取り上げられているのは、大江健三郎、夢野久作、久生十蘭、江戸川乱歩、小栗虫太郎……などなどです。これらの作家論と「ウロボロス」を繋ぐものはなんなのでしょうね。
というわけで、今回の石蔵にあった6冊の「本を紹介する本」を紹介してみました。改めてそういう視点で見てみると6冊もあったのが意外でした。でも「本について語る」って面白いし、世の中には厖大な本が存在している以上、面白い本のガイドには需要がありますよね。
実は「石蔵ブックカフェ」でも、スタッフがそれぞれ毎回注目の一冊を紹介する「今日の一冊」という取組を3年以上やってきました。その紹介文を、今回まとめて展示してみました!
このように、小村さんがパネルに貼っていきました。パネルだけでは足りなかったので机にも貼り付けました。そして完成したのがこちら。全部で約80枚あります。
壮観ですね〜! これは本みたいにまとめたら面白いなあ! と思いました(面倒だから簡単にはできませんが)。スタッフ毎に選んだ本や書き方に特色があるのも、並べてみるとよくわかります。
「今日の一冊」の取組はちょっとした財産ですね。ちゃんと紙で残っているというのもいいなと思いました。この紙ごと本をお買い上げいただいた方もいるので、全部残っているわけではありませんが。もちろん、今後も「今日の一冊」は続けて行きますのでぜひご注目ください。
次回は、3月26日(土)10:00〜19:00です。また石蔵でお会いしましょう。
【今日の一冊】 植本一子『家族最後の日』 土方久功『ぶたぶたくんのおかいもの』
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