8月28日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。
8月に入ってから、季節外れの前線の停滞で全国的に水害などが頻発しており、南薩の地でも稲刈りができないなど農業には大きな影響が出ていました。そんな天気もようやく落ち着き、夏らしい暑さが戻ってきた中での開催でした。
今回の特集は「きっと涼しくなる、この一冊 -ミステリ・ホラーの世界-」でした。
何はともあれ、天気が夏らしくてよかったなあ、と思ってしまいました(笑)つい数日前まで暑いどころか肌寒い時すらある天候でしたからね。まあたいした問題ではないのですが、やはり季節感にマッチしたお店でありたいものです。
内容は、狭義のホラーは割合少なくて、ミステリ中心です。ちょっと写真を撮るのを忘れてしまいましたが、『シャーロック・ホームズ百科事典』みたいな本もありました。私もシャーロック・ホームズにハマって全巻読んだことがありますが、いい思い出です(ちなみにその後、コナン・ドイルの冒険ものもほぼ全部読みました)。
ところで、今回は古本屋での本との出会いの不思議について語ってみたいと思います。
石蔵ブックカフェに来られたお客さんが、「こんな本が欲しいなと思っていたところに、ちょうど見つけたんですよ!」とか、「まさに今自分が必要とする本があった」といったようなことを言って下さることがあります。
もちろん、石蔵ブックカフェは本の出張販売なので、そんなに冊数があるわけではありません。300冊くらいでしょうか。だから、「こういう本はないの?」という声に対して、「つばめ文庫」の小村さんが「それは今日はもってきていませんねー。今度持ってきます」と応える会話もしばしば。ちょっと大きめ本屋に行っても、自分が欲しかった本がないことなんかよくあることなので、たった300冊から目的の本があるほうが珍しい。
にも関わらず、古本屋の品揃えってのは不思議と「引き寄せる」ことがあるんですよね。
今回、私もありえない本を引き寄せてしまいました…! それがこちら。ダニエル・C・デネット著『ダーウィンの危険な思想』です。
10年くらい前、私は進化心理学という学問にハマっていました。人間の心や文化を進化生物学を基盤として考えるという学問です。ダニエル・C・デネットは生物学者ではなく哲学者なんですが、進化心理学を使って哲学を考えるという、哲学の学派ではニューウェーブ的な人で、私はこの人の『解明される宗教』という本を読んでいたく感激していました。
そんなデネットの包括的な著作(つまり到達点的な著作)が、この『ダーウィンの危険な思想』です。最近、新著(『心の進化を解明する ―バクテリアからバッハへ―』)が出版されたので、もはや「到達点」と呼ぶのは適切ではありませんが、当時では進化心理学的哲学に興味がある人の間では絶対に読むべき本だった気がします。
しかし、これは新刊で買うと5000円以上する本です。5000円以上の本は衝動買いしないようにするというのがマイルール。何しろ貧乏なので、ちょっと気軽には買えない。
そんな時、原書が1500円くらいで売ってたんですよね。ブックオフかどこかで(やはり古本屋!)。これは安いじゃないかということで、この時は即買いました。
ところが、私はあまり英語が得意ではありません。英語が得意じゃないのに、500ページ以上ある英語の本が読めると思ったのはなぜかというと、哲学者が書く本というのはとても論理的なので、英語が多少苦手でもいけるんじゃないかと思ったのです(←安易)。
しかし、うーん、現実的には読むのにあまりにも時間がかかりすぎる! そんなわけで結局50ページくらいで挫折してしまいました。
そんな『ダーウィンの危険な思想』がなぜ石蔵ブックカフェに…!? しかもそれっぽい内容の棚があって、そこにこの本があったのではなくて、軽めの雑多な本の中にこれが燦然と輝いておりました。どこでどうしてこんな所に紛れ込んだのでしょうか…! かなり特殊な本で、300冊の間に普通入っている本ではないのです。
私のために選書したとしか思えない…!!!
これが、古書店での本との出会いの不思議です。こんなミラクルが、しょっちゅうとはいいませんが割とよく起こるのが古本屋。すごいところですね!
ですから、どんな小さな古本屋でも、足を運んでみると意外な本との出会いがきっと待っていると思います。というわけで、まだ石蔵ブックカフェに来たことのない皆さん、ぜひお越し下さいね。
ちなみに、結局私がこの本を買ったかどうかですが、実はミラクルを感じつつも買いませんでした(笑)今はちょっと歴史の勉強に忙しくて、この大著に取り組む余裕がありません。またいずれ、その時が訪れるのを待ちたいと思います。
ところで、今回「南薩の田舎暮らし」では、新たな取り組みとして、ストローをプラスチックから生物由来の素材(正確にはサトウキビらしい)のものに変えました。奇しくも、9月からスターバックスが全店で紙製ストローに変えるところだったみたいです。スターバックスを数日先んじました…!(笑)
まあプラスチック製のカップに入れているので、あまり意味ないんじゃないかと言われればその通りなんですけどね。できるところから変えていこうということですのでご理解下さい。
次回は、9月25日(土)、10:00〜19:00です。次回の本のテーマは「今こそ、ふるさとを知ろう! -鹿児島県を見つめ直す-」ということで、鹿児島特集です。
石蔵で、本との不思議な出会いをしに来て下さい(笑)
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