石蔵ブックカフェ、まだまだ盛夏のような暑さの中で、9月14日に開催しました。
今回、南薩の田舎暮らしのカフェ担当ナツミが体調不良だったため、十分な準備や対応ができなくて失礼いたしました。しかし、いつも通り多くのお客様にお越しいただき、ありがとうございました!
今回の特集は「日々、旅」でした。
もともと、「つばめ文庫」さんは旅をテーマにした古書店だったので、今回の選書はかなりディープでした。正直言って、あんまり売れ行きはよくないんじゃないかと心配するほどでした。だって、「旅」といっても気軽な旅じゃなくて、アフリカ探検みたいにどちらかというと「探検・冒険」の本が多かったので(笑)
特に、この棚にニューギニアの本が2冊並んでいたのは面白かったです。普段の生活ではなかなか見ない文字「ニューギニア」。それが2つも並んでいたのが印象深いです。「最後の秘境」だそうです。「最後の秘境」っていくつもありそうです(笑)
その棚に潜んでいた『モンテーニュ旅日記』。この本自体は未読ですが、モンテーニュといえば旅と読書ですね!(独断と偏見)
私からヘタな紹介をするのもアレなので、宮下志朗さんのこちらのエッセイをご参照下さい。
モンテーニュ『エセ—』を読む|第7回 旅について
https://www.hakusuisha.co.jp/news/n16764.html
この宮下志朗さんの文章の中でも、モンテーニュの旅に対することばがいくつか引用されています。たとえばこんな風な。
平時であれ、戦時であれ、わたしは書物なしに旅をすることはない。
精神は、旅をしながら、未知のものや、新奇なものに注目することによって、絶えざる実習をすることになるのだ。
この『モンテーニュ旅日記』にもこんなことばが書いてあるみたいです。
眠れぬ夜をすごした後、朝になって、ふと、今日はまた別の町、また新しい地方を見るのだと思うと、わたしは希望と歓喜にみちて起きるのだよ。
まさに、こんな風に旅が出来たらいいですねー。とはいっても、私自身はあんまり旅というか遠出は好きな方ではなく、家でじっとしている方が向いているんですが(笑)
そんな出不精の私ですが、せっかく「日々、旅」という特集なので、旅の本を買いました。
森本哲郎『神の旅人—パウロの道を行く』です。この本は、パウロの伝道の旅を実際に辿ってみて、キリスト教成立のその時を追体験しようという本。
著者の森本哲郎さんという方も、「日々、旅」というテーマを象徴するような方です。
一般的には評論家として、特に文明批評などで知られていますけど、森本さんといえば「旅」というくらい、「旅」を冠した著書が多いんです。
Wikipediaに載っていた著書一覧から、「旅」またはそれに類する言葉がタイトルになっている著書を以下に抜き出してみました。改めて並べてみると本当に多いですね!
『文明の旅 歴史の光と影』
『生きがいへの旅 現代社会の哲学的風景』
『人間へのはるかな旅』
『ゆたかさへの旅 日曜日・午後二時の思索』
『ぼくの旅の手帖 または、珈琲のある風景』
『ことばへの旅』第1-5集
『あしたへの旅 変わりゆく人間変わりゆく社会』
『すばらしき旅 人間・歳月・出会い』
『旅と人生の手帖』
『四季の旅 花のある風景』
『名作の旅、伝説の旅』
『そして、自分への旅』
『読書の旅 愛書家に捧ぐ』
『旅と自然と人生』
『日本民族のふるさとを求めて 知的冒険の旅』
『音楽への旅』
『中国幻想行』
『書物巡礼記』
『ぼくの旅のカタログ』
『学問への旅』
『二十世紀を歩く』
『森本哲郎「旅物語」』
『神の旅人 パウロの道を行く』
『森本哲郎 世界への旅』全10巻別巻1 (著作集)
『世紀末を歩く 地球曼荼羅』
『旅の半空』
『ぼくのおみやげ図鑑 旅のエッセイ』
『おくのほそ道行』
『世界 知の旅』責任編集、全10冊
ちなみに、森本さんは、現実にも世界各国を旅行しているんですが、やっぱり「旅」という言葉、概念そのものが好きなのか、実際の旅ではなく観念的な旅というか、”思索を旅に見立てた”本も多いのです。例えば代表作の『ことばへの旅』はことばについて思索したエッセイ集です。
著作集のタイトルが『世界への旅』なのが、森本さんの作家人生をそのまま表現しているような感じがします。
ところで「つばめ文庫」は、これから「鹿児島」「仏教」「旅」の3つのテーマで店作りをしていくそうですよ。どんな古本屋になっていくのか楽しみですね。
次回は10月12日(金)です。ぜひお越し下さい。
【今日の一冊】
小山 和『古道紀行—木曽路』
二名ノリコ『夜明けへの旅—女一人ヨーロッパ芸術散歩』
A.ピエール・ド・マンディアルグ(澁澤龍彦訳)『城の中のイギリス人』
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