9月24日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。歴史的な気圧の低さで本土に接近し、被害が心配された台風14号も、それほどの被害はなく(といっても普通の台風くらいの被害はありましたが…)、無事に迎えられた秋の石蔵ブックカフェでした。
今回のテーマは「死生観」ということで、宗教から医療まで幅広いラインナップでした。本の数もいつもより多かったようです。
今回並んだ本の内容には関係ありませんが、死生観というと、『魁!! 男塾』の「男なら死ねい!」を思い出します。要は「毎日死ぬ気で生きろ」ということ(だったような気がします)ですね。「死ぬ」と「生きる」は表裏一体という、江田島平八塾長の有り難いお言葉です(笑)
さて、実は、今回は「丁子屋 石蔵講演会」(丁子屋さんが、石蔵ブックカフェに合わせて開催してくださっている講演会)に不肖私(=南薩の田舎暮らし 窪)が登場でした。内容はもちろん、過日上梓いたしました『明治維新と神代三陵—廃仏毀釈・薩摩藩・国家神道』についてです。
実はこの講演、これまでにも同内容を史談会の例会などで発表していた内容でしたが、これまでと違ったのは時間配分でした。これまでは2時間近くかけてしゃべっていた内容を、今回は80分で話そうと、(もちろん事前にスライドの数は数枚減らしてはいたのですが)だいぶ急ぎました。こんなに早口での講演は私も聞いたことがない…っていうくらい駆け足で発表しました。
というのは、講演の最後の10分間を使って「丁子屋と法藏館」について話したかったからです。
石蔵ブックカフェの会場であり、いつもお世話になりっぱなしの丁子屋ですが、実は全国に「丁子屋(または丁字屋)」という屋号の企業がたくさんあるんです。そして、拙著『明治維新と神代三陵』を刊行していただいた版元の「法藏館」も、元々の屋号は「丁子屋」。
この二つの丁子屋が出会うことで、かつて「丁子屋サミット」という会合が開かれたことがあります。「丁子屋石蔵講演会」で法藏館の本について語る以上、このことに触れないわけには参りません。というわけで、この機会に「丁子屋サミット」のことを書き残しておこうと思います。
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2001年(平成13年)8月26日(日)、京都の清水寺で、全国の「丁子屋(丁字屋)」を屋号とする個人や会社約30組が集まり「丁子屋サミット」が開催されました。サミットでは、先祖供養を行うとともに、それぞれの紹介を行い、「丁子」のルーツを探ったということです。
このイベントが行われるきっかけとなったのが我らが鹿児島の丁子屋です。1992年頃、鹿児島の丁子屋が九州の取引先を回る中で「丁子屋」「丁字さん」が何軒かあるのに気づき、県立図書館の電話帳で全国(県庁所在地)の「丁子屋」を調べたそうです。その結果92件も見つかり、手紙を出したものの、たった3件しか返信がなく、全国の丁子屋で繋がろうという構想は一度は立ち消えになります。
一方、1998年頃、法藏館の先代・5代目西村七兵衛社長(当時)は会社の蔵にあしらわれていた紋に注目しました。
漢字の「七」は代々「七兵衛」を襲名していくことから理解できるとして、その上の大根のようなものは何だ?と。
西村さんは舞妓さんの帯に同じ模様があしらわれていたことを偶然見つけて、これが「丁子」(=クローブ)であることがわかります。法藏館は創業400年を超える日本でも最古の出版社ですが、明治以前は「丁子屋」の屋号で営業していました。屋号が「丁子屋」なので、丁子が紋になるのは当然なのですが、ではなぜ出版社が「丁子屋」なのか? この紋をきっかけに疑問を持った西村さん。しかし誰にきいてもわかりません。
そんな折り、西村さんが静岡の丸子(まりこ)宿の「とろろ汁の丁子屋」で話を伺ったところ、「そういえば、鹿児島の丁子屋からこんな手紙が来ているよ」と例の手紙を見せてもらい、鹿児島の丁子屋の吉峯幸一さんに連絡を取って意気投合したそうです。
【参考】とろろ汁の丁子屋
西村さんと吉峯さんのこの出会いがきっかけとなって、1999年、「法藏館」を中心に、「鹿児島の丁子屋」、「ととろ汁の丁子屋」(静岡)、「あねがさきロイヤルホテル(登記上の屋号が丁子屋旅館)」(千葉)の4社が発起人会を結成。「同じ屋号同士、横の繋がりを広げ、情報交換しよう」と全国の丁子屋に呼びかけ、サミット開催の運びとなった、というわけです。
なお、サミット開催の目的の一つは「丁子屋」という屋号の由来を探るということにあったのですが、丁子が縁起の良いもので、江戸時代に流行した屋号であるという以上のことはよくわからなかったということです。
…というような話を、講演では行いました。さらに実は、講演前日に法藏館の西村明高(ひろたか)現社長より、当日の模様のビデオ映像が届いたんです。そこで当日は、急遽そのビデオも一部抜粋し上映いたしました。丁子屋のみなさんも「懐かしい!!」と大盛り上がりでした。この講演のためわざわざビデオを編集してくださった西村社長にはこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました!
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ちなみに講演会には多くの方が足を運んで下さり、また講演後には石蔵ブックカフェにも寄ってくださいました。おかげで講演後はカフェが満員! ありがたかったです(私が不在だったのでつばめ文庫の小村さんにカフェをかなり手伝ってもらいました)。
そして、今回の営業では、なぜか閉店間際にもお客様が途切れることなく、久々に営業時間を延長しました。「石蔵ブックカフェ」の営業時間はルーズなので、お客様がいれば閉店することはありません。閉店間際でも安心してご来店ください(笑)
ところで、今回の隠れた目玉商品がこちら。「南薩コンフィチュール”ブルーベリーと木苺”」でした。ブルーベリージャムはそれだけで美味しいですが、そこに木苺(きいちご)を加えると格段に美味しくなるというのが今年の発見。
ところが、私自身が講演で忙しかったため、当日はなんとプライスカードを出すのを忘れていたようです。今度また見かけたらぜひご購入下さい(苦笑)
それから丁子屋さんからの案内です。来る11月19日(土)(※石蔵ブックカフェの日ではありません)に「第12回 石蔵コンサート」が行われるとのことです。
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そして南薩の田舎暮らしから、もう一つ案内です。上の写真の左にも見切れていますが、『明治維新と神代三陵』の刊行を記念して、10月9日(日)に天文館図書館でブックトークのイベントを行います。題して「儒学・国学・廃仏毀釈」!
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人からは「とっつきにくいテーマ」と言われましたが、私自身は「みんな興味があるテーマ」だと思って企画しました(笑) 近世・近代の思想に造詣が深い小川さんとの対話の中で、儒学と国学という一見相反する幕末のイデオロギーが廃仏毀釈に繋がっていく様子が見えてくるんじゃないかと、私自身、楽しみにしています!
↓申込はこちら
そして最後に大事なお知らせです! 次回10月で、石蔵ブックカフェは満5周年を迎えます(パチパチパチ)!
日頃来て下さっているお客様の皆様や丁子屋さんなど多くの方に感謝し、次回は「石蔵ブックカフェ通信」を配布する予定です(4周年の時にも配りました。ミニエッセイ集です)。そして、次回は石蔵ブックカフェに合わせて「かごしま朗読cafe」(主催:梶原末廣先生)も行われます。
【参考】第144回かごしま朗読cafe&石蔵ブックカフェミニエッセイ発表会(石蔵ブックカフェ5周年)
というわけで、なんだか盛りだくさんな開催報告の記事になりました。
次回は10月22日(土)10:00〜19:00。また石蔵でお会いしましょう。
【今日の一冊】
『仏教シネマ』釈 徹宗・秋田光彦
『相続百人一首』森 欣史
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