top of page
執筆者の写真南薩の田舎暮らし

アンティークの深い世界に触れて

更新日:2019年10月30日

10月26日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。


今回で、実は石蔵ブックカフェ2周年でした。思えば1周年の時は店主によるピアノ演奏や振る舞いお菓子などささやかながら記念行事を行ったのですが、気づいたのが直前だったので今回は何もなしでした…。せめて何かできたらよかったのですが…、3周年(あれば)の時は何かやりましょう!



さて今回は、石蔵アカデミアのためにお招きした更紗屋雑貨店、松山芽衣子さんの出張販売がありました。更紗屋雑貨店は、現在は店舗を持たず、基本的にイベントでの出張販売しかやっていないということで貴重な機会でした。そこに並ぶアンティーク雑貨の数々は石蔵の雰囲気にぴったりでした。



「特に今回のイチオシとかありますか?」と聞いてみたら、意外にもボタンではなく、ポストカードでした。古いフランスのポストカードをたくさん持ってきていただいていました。実は松山さんがヨーロッパのアンティークにはまった最初のきっかけがポストカードなのだそうです。



松山さんが「開運!なんでも鑑定団」の西洋アンティーク鑑定で有名だった岩崎紘昌さんの催事に行ったとき、「何か買いたいがどれもこれもお高い…!」となり、唯一手頃だったポストカードを買ったそうです。それが松山さんにとってのアンティーク事始めで、それからアンティークを買い集めるようになったとのこと。


「ではポストカードの面白さは?」と聞くと、松山さんにわんさか語っていただいたのですが、私が感じたのは、当時の人の感性にダイレクトに触れられるってことです。松山さんが取り扱っているポストカードは、未使用品ではなく、誰かが実際に投函したものばかりです。長い文章は書いていなくて、「愛を込めて」とか、日本で言えば時候の挨拶みたいなやつが多いのですが、当時はそういう手紙のやりとりが頻繁だったようで、「別に用はないけどちょっと気の効いたやつを送って繋がっていたい」みたいな、今で言えばSNSくらいの気軽さで手紙が使われていたんだそうです。



そういうポストカードを観賞するっていうのは、いわば100年後にLINEでやりとりされたスタンプを見ている…というようなものでしょうか。ポストカードについては「なんかレトロでかわいいよね」っていう程度の認識でしたが、お話しを伺ってみて実に深い世界があるもんだなあと感じました。



もちろん本業(!?)のボタンも一つひとつに深い由来があって、特に驚いたのはかのルーシー・リーが一時ボタン工房に属していて、それをきっかけに陶芸の道に入っていったということです。そしてルーシー・リー在籍時の当該工房のボタンもありました! どのようなボタンなのかは細かい話になるので割愛しますが、こんな感じでボタンひとつにも物語があるのが面白いですね〜!


ルーシー・リー在籍時の工房のボタン

そして石蔵アカデミアの講演は、その松山さんによる「フランスの田舎に暮らしてみたら 〜蚤の市めぐりとバカンスの愉しみ〜」でした。


松山さんは今年6月から9月までフランスのブルゴーニュに滞在され、蚤の市巡りなどで雑貨を仕入れて来たのですが、その際のお話しを中心に、ステキなフランス田舎暮らしについて語っていただきました。今回はお客様が少なめで、十数人くらいでしたが、もっと多くの方に聞いていただきたい話でした。広報が弱くて申し訳ありません!



また今回の特集は、松山さんの講演&販売にあわせて「アンティークな本」というテーマでした。古色蒼然とした古い文庫や、復刻版の日本文学の名著などが並びました。


こういう本って、読むのにはあまり便利ではないですし(旧字体だったり字が小さかったり紙質が悪かったり(←特に戦時中))、ずっと読みやすい新しい文庫で出てる本も多いですから、正直「情報」としての価値は低いです。でも見た目はとっても雰囲気がありますから、そこに数冊あるだけで、立派な調度品になりますねー。



本を「調度品」として使うのは賛否両論ありますが、私は「本は背表紙さえ読めば大丈夫」という主義なのでゼンゼンいいと思います(ただし背表紙だけの本は本とは呼べません…)。


ちなみに、毎回選んでいる「今日の一冊」ですが、せっかくなので松山さんが持参された1800年代の本から選びました。私はフランス語は読めませんが、『フランスの歴史』というタイトルの本であることだけはわかります(笑)(今写真を見返したら表紙の写真撮ってなかったようです。)



この本は、見返しの部分だけでなく、小口の部分にもマーブリング(墨流し)で模様があしらわれているのがステキです。マーブリングというのは、水の上に絵の具を垂らし、水盤の上で模様を成形して紙に写し取る技法で、本の装幀には古くから使われています。


そういえば国書刊行会の「世界幻想文学大系」のシリーズの装幀にマーブリングが大胆に使われていて、非常に印象的でした。でも最近はマーブリングがあしらわれた本、みないですね…。



そして大事なお知らせがあります! 次回11月の石蔵ブックカフェはいつもの石蔵ではなく、川辺にある南九州市市民交流センターひまわり館にて、11月22日・23日(金土)の2日間開催しますのでお間違えないように! 石蔵アカデミアの講座を計4回行いますので、ぜひ全部聴きに来て下さい!


それでは次回はひまわり館にてお待ちしております。


【今日の一冊】

『フランスの歴史』(フランス語なので詳細不明)

『爆笑問題田中のオトナスコラ』


 

次回の石蔵ブックカフェは”出張版”! 川辺の「ひまわり館」で行います!



閲覧数:72回0件のコメント

Comments


bottom of page