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  • 執筆者の写真南薩の田舎暮らし

夏休みの終わりに30年間の鹿児島の激変を『便利帳』に見る。

8月27日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。夏休みも終わりにさしかかり、連日の猛暑とはいえ、秋めいた空気も感じられる中での開催でした。


前回2回は「つばめ文庫」が欠席ということで、「南薩の田舎暮らし」のみのエセ・ブックカフェでしたが、今回は3ヶ月ぶりに「つばめ文庫」復活で、本来の形の石蔵ブックカフェが戻ってきました! よかったよかった。



そして、前回はブログ記事にも書いたようにお客さんがかなり少なかったのです。ところが、なぜか今回は朝からお客様がたくさんいらっしゃり、この半年くらいの中で一番繁盛したような気がします。客商売って不思議です。



今回の特集は、「鹿児島の本、大放出!」。鹿児島関係の本がたくさん並びました。郷土誌、郷土雑誌、ゆかりの作家などいろいろな本がある中、私が気になったのがこちら。『かごしま便利帳(1993年版)』です。これは、『月間かごしま タウン情報』(今の『TJカゴシマ』)の別冊として作られたもののようです。約30年前の鹿児島が活写されています。



内容は、簡単に言えば「鹿児島市を中心に、いろんな場所の電話番号が書いてあるハンドブック」です。例えば巻頭にある「喫茶」はこんな感じ(写真が不鮮明ですみません)。



今ではない店ばっかりですよね〜、と書こうと思いましたが、意外と残っている店も多い(笑)。そして電話番号(まだ鹿児島市の市外局番が0992だった頃! 懐かしい)だけでなく、「ブレンドコーヒー 400円」などと書いてあるのが、当時の物価を窺うことができて貴重です。この便利帳、飲食店には全て少なくとも一つはメニューの価格が表示されており「めちゃくちゃ参考になる!」と思いました。インターネットがあまり使われていなかった時代、お店の情報なんかはこういう冊子が重宝されましたね。


便利帳には「古書」の項目もあったので開いてみました。



これはもう、この30年の間に全て様変わりしてしまった業界です。ここに掲載されている古書店のうち、まだ続いているのは「あづさ書店」と「糸書店」がありますが、今の「あづさ書店(西駅店)」はのれん分けで出来た違う経営者の店ですし、今の「糸書店」は亡くなった経営者の親族の方が1ヶ月に1週間だけ開けている、残務整理的な営業をしている店です。なので、ここにある13店舗は全て閉店したということになりますね。


もちろん、この後にブックオフが進出してくるわけですし、「つばめ文庫」はもちろん、「古書リゼット」「ブックス・パーチ」「猫待屋」などのお店ができていますので、鹿児島市から古書店がなくなったのではありませんが、この入れ替わりは激しいですねー。


なお、この電話帳は全ての店が網羅されているわけではなく、例えばこのリストには「廣文館」(西千石町)が載っていないです。それにしても当時を知るための貴重な資料だなと思いました。


さらに「書店」の欄を見てみますと、もっと激変しています。正直「鹿児島市内にこんなに書店があったんだ!」と驚きました。



書店は3ページにわたって掲載されており、なんと鹿児島市内だけで69店舗の書店がありました! 今何店舗あるんでしょうか。この数分の一であることは確実だと思います。大丈夫ですかねー、鹿児島の文化。


文化といえば、当日はこちらのリサイタルの案内もいたしました(←無理矢理な話の繋げ方)。パリ留学から帰国された上薗(かみぞの)綾奈さんの「帰国リサイタル」です。



南さつまにも縁がある上薗さん。石蔵ブックカフェの会場である丁子屋さんがチケットを預かっているということなので、ぜひそちらからチケットをご購入ください。コンサートの詳しい内容については、主催者の「かみぞのミュージックスタジオ」のこちらの案内をご覧ください。


上薗綾奈帰国リサイタル


ちなみに、「かみぞのミュージックスタジオ」は綾奈さんのお姉さん上薗和佳(やすか)さんが主催しており、次女・未織(みおり)さんと三女・綾奈さんはヴァイオリンで活躍しています。すごい音楽三姉妹がいるものです。この三姉妹、来年2023年1月6日に「モゼ・シュベスター・トリオ」としてサンエール鹿児島でコンサートを開くそうなので、こちらもご注目ください。こんなすごい三姉妹が出てくるくらいなので、鹿児島の「文化」も捨てたもんじゃないですね!


話は変わりますが、今回「つばめ文庫」さんが委託販売されていたすごい商品があったのでこちらも紹介します。それがこちら「川辺仏壇ペンケース」。



なんとこのペンケースを製作された方、川辺仏壇とは何の関係もない個人です! それどころか川辺在住・出身の方でもありません! どうして一介の個人が「川辺仏壇」をあしらったペンケースを作ろうと思ったのか。というか、なぜペンケースに「川辺仏壇」をプリントしようと思ったのか…。全く想像がつかないと思いますが、気になる方は「つばめ文庫」へご来店ください。


当日は、「ペンケースだから仏壇の意味がわからないけど、お線香入れにしたらどうか」とか「過去帳を入れる袋として使えばいいんじゃ…」などと色々なアイデアが出ました。ペンケースとしては結構高い2000円。しかも仏壇プリントということで、これをどうやって売っていくかというビジネスの教材としても面白い存在ですね(笑)


そしてもう一つご案内。次回の石蔵ブックカフェに合わせて、丁子屋石蔵講演会が開催され、不肖私こと「南薩の田舎暮らし」代表の窪 壮一朗が講演致します。



演題は、「鹿児島にはなぜ神代三陵があるのか?」。


そうです。この度出版致しました拙著『明治維新と神代三陵—廃仏毀釈・薩摩藩・国家神道』(法蔵館)の内容を簡単に紹介したいと思います。「本を買って読むほどではないけど内容には興味あるなあ」という方は、無料ですのでぜひいらしてください。時間は、14:00から80分ほどを予定しています。


次回は9月24日(土)10:00〜19:00。また石蔵でお会いしましょう。


【今日の一冊】

五代夏夫『桜島の顔』

相星雅子『下関花嫁』




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