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執筆者の写真南薩の田舎暮らし

「石蔵アカデミア」開講!!

4月27日(土)、石蔵ブックカフェ開催しました。


日程を第4土曜日に移しての、初めての石蔵ブックカフェでした。当日は天気にも恵まれ、ゴールデンウィークの初日。たくさんのお客様が来るのでは? と期待していましたが、驚くほどいつも通りの感じでした(笑)



今回の特集は「○○賞受賞の本」でした。芥川賞、直木賞をはじめとして、世の中にはたくさんの文学賞がありますよね。今回はそういった文学賞を受賞した本を集めてみたという特集です。文学賞を獲った本は大体面白い…かどうかわからないのが文学賞のくせ者なところですが(!?)、ナントカ賞受賞! はその作家を知る一つの入り口としてはいいですよね。



あと今回の隠れた特集は「東洋文庫」でした。なかなか手に取る機会はないと思いますが、歴史関係のことを深めていくと絶対に避けて通れないのが「東洋文庫」です。しかも結構お得な値段がつけられていたので私も一冊買いました!



そして今回の目玉は、「石蔵アカデミア」のスタートでした。改めて説明すると、石蔵ブックカフェに合わせて、ちょっとしたミニ講演的なものをやっていこうというものです。これは客寄せではなくて、文化事業として考えています!


というわけで、初回は私、南薩の田舎暮らし 窪より「鍵盤楽器による半音階芸術史—16世紀からバッハまで」と題した思いっきりマニアックな話をいたしました。意外にも20人以上の人に集まっていただき、大入りとなりました。


ところが、あまりにも内容を詰め込みすぎて1時間の予定を大幅に超過し、1時間45分くらい話してしまいましたので大反省です…! にもかかわらず、話すべきところを随所で端折りまくったので不完全燃焼でした。


撮影:宮本幸彦さん

ちなみに、かのJ.S.バッハはドイツのアイゼナハという田舎街出身なのですが、先生らしい先生にもつかず楽譜を通じて作曲をマスターします。実はバッハは稀代の楽譜マニアでして、楽譜の筆写のためなら遠くまで徒歩で出かけていったという伝説があります。バッハを育てたのは楽譜=本でありました。


そしてバッハがその生涯最良の創作活動を行ったのが、同じくドイツの地方都市ケーテン。ここは都市とは言え当時の人口はたった3500人くらいであったと言われます。3500人といえば地元でいうと大浦町と笠沙町を合わせた人口より少ないくらいです。そんな町がバッハを雇っていたというのがすごいですよね…! 今の日本では、人口1万人以下の自治体で専属の音楽家を雇っているところはないと思うのですが、当時のドイツの方がずっと豊かだったということになるのでしょうか?


今、日本では人口減少が大きな課題となっています。もちろんこれはこれで大問題。地元では本屋がなくなるし、学校は統廃合されるし、どんどん文化的にも萎縮していきそうな感じで恐怖すら覚えます。しかし、バッハは田舎出身で(学校教育はかなりちゃんと受けていますけど)楽譜という間接的なメディアによって作曲家となり、小さな街で活躍したということを考えると、これからの田舎の文化というものを考える上で何かヒントになるんじゃないか、そんな気持ちから、私は「鍵盤楽器による半音階芸術史—16世紀からバッハまで」というマニアックなテーマで講演したんでした。


次回5月25日(土)の「石蔵アカデミア」は、今回とはうって変わって「ガンダム」の話です。これはこれでものすごくマニアックな世界が広がっているそうです。ぜひお越し下さい!


【今日の一冊】

『蘭香千里——沈壽官家 歴代伝世品 収蔵庫図録』沈壽官窯

『BRUTUS 2005.11号』

『明治大正史 世相編』柳田国男 著


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