4月27日(土)に開催する石蔵ブックカフェでは、遂に新しい取組である「石蔵アカデミア」が開講します!
記念すべき(ってほど大げさな催しではありませんが)第1回目は、南薩の田舎暮らし店主窪が、「鍵盤楽器による半音階芸術史—16世紀からバッハまで」というテーマでお話しします。
大変マニアックなテーマですが、「そんな音楽興味ないし」と敬遠しないでくださいね! こういうことに詳しい人はほとんどいないわけですから、クラシックなんてサッパリ聴きません、という人にも理解できるように、できるだけわかりやすく話したいと思います。
なお当然ながら、私(南薩の田舎暮らし窪)は、音楽が専門でもなんでもありません! ただ、こういうちょっと不健康な(!?)音楽を聴くのが好きなだけの好事家です。趣味の世界の話なので気軽にお聞き下さい。
さて、「半音階芸術史」という耳慣れない言葉はともかくとして、そもそもバッハ以前の音楽を聴く人自体が少ないと思います。人によっては、「バッハの前って音楽あったの…?」なんて認識の人もいるかもしれません。何しろ、学校教育でバッハが「音楽の父」ってことになってますからね…。
しかしこれは大きな誤解なんです。ヨーロッパでは、バッハ以前にかなり実験的な音楽が試みられており、特に16世紀は「実験音楽の世紀」と言っても過言ではありません。
16世紀に試みられた実験音楽の一つに、半音階の多用というジャンル(?)がありました。半音階というのは、ごく単純に言えばピアノの鍵盤の黒の部分を使うということですね。それまで半音階というのは重要であってもごく控えめに用いられるに過ぎなかったのですが、この時代、突如として半音階に注目が集まり、奇妙に半音階を用いた作品群が生まれました。
そんな作品群の嚆矢であり、また一つの完成形でもあったのが、ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンクというオランダの作曲家の「半音階的幻想曲(Fantasia Cromatica)」です。
スヴェーリンクは、いわばルネサンスとバロックを架橋するような作曲家であり、また多くのオルガニストを育成した音楽教育家でもありました。スヴェーリンクが育成した弟子達によって、北部ヨーロッパが鍵盤音楽(特にオルガン音楽)の中心地となっていくのです。
そしてスヴェーリンクの半音階は、ヨーロッパ中で用いられ、変形され展開され、大流行することになります。17世紀は、鍵盤音楽の揺籃期とも言うべき世紀ですが、この鍵盤音楽の発展と歩みを等しくして、奇妙な半音階作品が花咲いていくことになったのでした。
今回の石蔵アカデミアでは、そうした半音階による西洋音楽の展開を、鍵盤楽器による作品に注目して辿っていきます。”天才中の天才”ジローラモ・フレスコバルディやドイツの比類なき即興演奏の名手ディートリッヒ・ブクステフーデといった大作曲家たちの作品を振り返り、半音階ムーブメントがJ.S.バッハにどう結実するかまとめてみたいと思います。
それでは当日は石蔵でお待ちしています!
第1回「鍵盤楽器による半音階芸術史—16世紀からバッハまで」
ヨーロッパでは16世紀、奇妙に半音階を使った音楽が流行しました。スウェーリンクやフレスコバルディ、ブクステフーデといったバッハに先駆けた鍵盤音楽の名手の作品とともに半音階芸術の展開を見ていきます。
話 者:窪 壮一朗(南薩の田舎暮らし 代表)
日 時:4月27日(土)14:00〜15:00
場 所:南さつま市加世田 丁子屋石蔵(喜八蔵)
申 込:不要
参加費:石蔵ブックカフェで1ドリンクオーダー
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