「坊津の一乗院は、日本最古の寺院——」なんて、聞いたことありませんか?
最近はあまり言われなくなりましたが、昭和の時代には「一乗院は最古の寺だ」という伝説がよく紹介されていました。曰く、「一乗院は、百済の僧 日羅(にちら)が敏達天皇12年(583年)に建立した」と。
西暦583年というと、まだ飛鳥時代! 最初の本格的寺院とされる飛鳥寺の建立よりも早いこととなります。それだけでなく、鹿児島には日羅創建と伝えられる寺がいくつもあるんです。例えば鹿児島市の慈眼寺とか清泉寺といったものです。
いやー、南薩ってすごい仏教先進地だったんですね〜!!
……と言いたいところですが、さすがにこれは伝説です。いくらなんでも古すぎます! その上、日羅に関する『日本書紀』の記述とも矛盾するところがありますし。
それで、最近は「一乗院は最古の寺だ」っていうのもあまり言われなくなりましたし、「日羅創建」はあくまでも歴史を彩る伝説として、真面目に考究されることはありませんでした。
でも、伝説はウソだ! と断じるのは簡単ですが、「どうしてそんな伝説が生まれたのか?」ということまで考えないと本当にわかったことにはなりません。
これまで鹿児島の日羅伝説については、まともに考察の俎上に挙がったことがないようですので、この機会に素人ながらその謎解きに取り組んでみます!
第9回 鹿児島の日羅伝説
坊津の一乗院や鹿児島市の慈眼寺を開基し、また金峰山に蔵王権現を勧請、磯間嶽を開山したともいわれる百済の「日羅」。しかしその伝説は事実ではありえません。では日羅伝説は荒唐無稽な作り話なのでしょうか? 鹿児島に数々の伝説を残す日羅とは何者なのでしょうか?
話 者:窪 壮一朗(南薩の田舎暮らし 代表)
日 時:11月22日(金)13:30〜14:30
場 所:南九州市市民交流センターひまわり館
申 込:不要
参加費:200円(中学生以下無料)
※配布しているチラシでは、この時間の講演は「歩けば増える、好きな建物・まち並み」(永留 純一)となっておりますが、諸事情により内容が変更になりましたのでご了承ください。
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