鹿児島の「歴史好き」の中では、西郷隆盛を中心とした幕末明治が一番の人気です。その次は、島津義弘を中心とした戦国時代でしょう。
ところがそれ以外となると、歴史好きの間でもあんまり注目されません。その中でも鎌倉末から南北朝時代というのは、一番の空白地帯と言ってもいいのではないでしょうか。
何しろ、敵・味方関係がものすごーく変転して合従連衡が繰り返され、小規模な合戦が頻発し、その上結果としては島津氏が覇権を確立した、という意味でわかりきってる面があるので…。
さらにこの時代に入っていくもう一つの壁は、手近な参考書がない、ということです。幕末明治ならたくさんの本が出ていますし、戦国時代についてもそれなりにあります。ところが「南北朝時代の鹿児島」なんて本は見たことないですからね。ただでさえわかりにくい時代なのに、手近な参考書もなく入り口のハードルが高すぎる…!
そこで石蔵アカデミアでは、そんな戦国時代以前の鹿児島に入門できる講座を行います!
しかも結果として覇者となる島津氏の目線からではありません。島津氏の敵となった、谷山氏、伊集院氏、鮫島氏といった、「南方凶徒」と呼ばれる南薩の豪族をメインに据えての講演です。
実は私(南薩の田舎暮らし 窪)自身、伊集院氏について一度勉強してみたいと思っていました。歴史書を読んでいると「南薩の雄、伊集院氏」などと出てくるんですが、どのあたりが「南薩の雄」だったのかなと。しかし参考書がないんですよね〜。
そして、彼らは島津氏によって「南方凶徒」というなんだか随分物騒な呼ばれ方をしているわけですが、これは実際に彼らが悪事を繰り返していたというより、島津氏の正統性を主張するために使われている言葉なんだとか。南薩の豪族たち「南方凶徒」には、彼らなりのロジックがあって動いていたんですよね。
講演では「南方凶徒」の動向をメインに、合戦だけでなく、鎌倉時代の統治方法や島津氏との関係も含めてお話しされる予定とのことです。我々のイメージでは、鎌倉から南北朝期といえば、紛争が起こったときすぐに武力行使に至るという感じがするんですが、実際には結構裁判なんかもやっていて、しかも割と公平な裁判が行われていたそうです。
語ってくださるのは南九州市教育委員会の新地浩一郎さん。中世の古文書読解に長け、私も
中世の鹿児島についていつも教えていただいている頼りになる方です!
鹿児島の「歴史好き」のみなさん、この機会に中世の鹿児島にも足を踏み入れてみませんか…!?
第8回 13世紀前半の薩摩
鎌倉時代の終わりから南北朝時代の中盤は、現代に繋がる文化の多くが産まれた面白い時代です。薩摩・大隅では土地支配を巡って裁判や合戦が頻発し、武士たちは京都や北陸、関東まで奔走しました。島津氏に敵対し「南方凶徒」と呼ばれた南薩の豪族の動向を中心にお話します。
話 者:新地 浩一郎(南九州市教育委員会)
日 時:11月22日(金)10:30〜11:30
場 所:南九州市市民交流センターひまわり館
申 込:不要
参加費:200円(中学生以下無料)
【注意】11月の石蔵ブックカフェの会場はいつもの「丁子屋石蔵」ではなく「南九州市市民交流センターひまわり館(=川辺の図書館)」です。お間違えないように!
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